太悳10周年の締めくくりである冬公演も、先日4日に無事、終了しました。
ご来場下さった皆様、本当にありがとうございました。
●公開講座受講生の初舞台
今回1番最初に演奏したのは、初舞台となる公開講座の受講生のメンバーでした。
最年少は6歳の小学生から、最年長は50代まで、
子どもから大人までいろんな人が参加して下さいましたが、
「いい音で、となりの人の音を感じながら」
という気持ちが伝わってくるような、一体感のある演奏でした。
舞台で発表することそのものが初めて、という方が多かったにも関わらず、
舞台上の所作もちゃんと様になっていました。
●緊張する・・・
公開講座の受講生で、奏者の一人である女の子が、
「先生、緊張する…。」と、本番前に何度も言っていたのですが、
演奏が終わってから、今度は
「みんな本番が一番よかった!」と嬉しそうに言いにきてくれました。
“緊張する”と“あがる”というのは、同じように聞こえますが、全く違うと思います。
たとえば単にこなすだけで、自分の感覚を置き去りにした練習を重ねてきた場合、
いざ本番になって、突如押し寄せるさまざまな感覚に対応できず、頭が真っ白になることがあります。自分が何をやっているかさえ分からなくなるような、いわゆる“あがる”という事態は、それまでの練習内容の質に関わっていると考えています。
また、“自分が楽しければいい”という気持ちでなんとなく通り過ぎてしまうと、
そこで感じられること、学べることは限られてきてしまいます。
“緊張できる”のは、むしろ能力と言っていいかもしれません。
その子の言葉は、他者を感じつつ、いい演奏を目指して練習してきた、
その過程における成長の証しであるように思えて、とても印象に残っています。
いい意味での「緊張」を体験することができましたね。
●美大ならではの演出
お客さんが会場に入ると、舞台ではなく、写真や立体、絵画の展示がお出迎え。
冬公演では、出演者でもある太悳学生組が
それぞれ専門分野で制作したものを一同に集め、展示を行いました。
普段は個々で活動している専門での取組みを集めて展示したら、いろんなものが並んでおもしろいのではないか、ということでこの企画が生まれました。
部員は、演奏の練習に展示の準備にと大忙しでしたが、
バラエティに富んだ、充実の展示になったと思います。
●来年に向けて
演奏については、たくさんのお客様から嬉しいお言葉をいただきました。
「ありがとうございます。たくさんのものをもらいました。」
「はじめて聴かせていただきましたがすごい感動しました。」
「毎回、編曲等変化を見せて頂けるのも素晴らしい。」
「本年4回楽しませていただきました。感動をありがとうございました。」
「聴いているこちらまでも楽しい気分にさせられた。」
「和太鼓だけでこんなに多様な表現ができるなんて驚きました。」
「はげまされた。頑張ろうと思った。」
などなど…。
見てくれる方、聴いてくれる方がどんなことを感じたのか、というのは
私たちの演奏の鏡のようなものだと思います。
どのような感想でもありがたく、身が引き締まる思いでした。
それから、全国からかけつけてくれた太悳の卒業生や、今年9月の大学祭で引退した4年生が口をそろえて言っていたのは、学生組の目覚ましい成長ぶりでした。
今年の春から比較しても、まるで別人のように変わりました。
ひとつ、またひとつと課題を乗り越えてきた学生組の部員たち。
年が明けたらまたすぐに、学生組だけでいろんな行事での演奏を控えています。
ここからが、皆の本当のスタートです。
太悳、太悳学生組一同、今後もよりよい演奏を目指していきたいと思います。
10年間の歩みを支えて下さった方々に、心より感謝申し上げます。
Gozu Yoshino